本稿は、てんかん治療が患者及び患者家族にもたらす社会的便益の検討を目的とした。現状の治療を継続する場合と、望ましい状態を実現するための新しい治療に対する自発的支払意思額(willingness to pay:WTP)及びWTPに関連する要因を分析した。抗てんかん薬を服用中の患者及び患者家族を対象としたインターネット調査を実施し932人の有効回答を得た。結果、受容度50%のWTPは、現在の治療を継続する場合は現在の自己負担額に加えて1,448円/月、望ましい状態を実現するための治療には現在の自己負担額に加えて3,791円/月支払っても良いという結果が得られ、両者の差は2,343円/月であった。WTPには「家族が回答者」「患者が就業」「世帯の年収」「一番重い発作の頻度」が影響していた。本研究では、発作のみならず、生活環境によっても患者及び患者家族の社会的便益が大きく影響を受けることが確認された。