作者
Seiichi Ishikawa,Hirotaka Hinoshita,Makoto Takagi,Keihei Ueno
摘要
石炭の利用増大にともない, 環境中への漏出が予想される有機化合物を同定し, その生物や生態系への影響を評価する目的で, 比較的単純な構造のフェノール類〔1a〕~〔1u〕を出発原料として, 標品となる種々の縮合フランの合成を行なった。アルカリ性下でヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを用いてフェノール類〔1c〕,〔1d〕,〔lf〕,〔11〕,〔1m〕,〔lt〕を酸化カップリングし, 得られた2,2'-ジヒドロキシビアリール〔2d〕,〔2d,m〕,〔2d,t〕〔2m,t〕,〔2t〕に, リン酸や2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン (以下 DDQ と略記する), あるいは臭素を作用させて脱水閉環を行ない, 4.2~57%の収率でジベンゾフラン型縮合フラン〔4'd〕,〔4d,m〕,〔4'd,t〕,〔4m,t〕,〔4t〕,〔4't〕を得た。またフェノール類〔1a〕,〔1b〕,〔le〕~ 〔1u〕と2,3-ジクロロ-1,4-ナフトキノン (以下 DCNQ と略記する)をピリジン中で加熱縮合し, 18~98%の収率でナフトキノン構造を有する縮合フラン〔51〕,〔5m〕,〔5q〕~〔5t〕を得た。