作者
Satoshi Kurihara,Hirohisa Kitada,Yoshihiro Fukuda,Naoyasu Sugishita,Keita Tateishi,Yoshio Tani,Takehisa Yuri,Isao Ishikawa,Akira Shinoda,Shizuko Suzuki
摘要
シャント血栓症に対する抗血小板剤dipyridamole (150-300mg/day) とticlopldine (200-300mg/day) の効果を, E-PTFE graft 36例, 外シャント42例につきretrospectiveに検討した. さらに安定期透析患者27名 (慢性腎炎22例, 糖尿病性腎症4例, 慢性腎盂腎炎1例) を対象に血小板凝集能, β-thromboglobulin (β-TG), 血小板第4因子 (PF 4) に及ぼす抗血小板剤投与の影響を検討した.E-PTFE graft血栓除去と吻合部再建の合計頻度は, 未投与期1回/8.9ヵ月, dipyridamole投与期1回/8.6ヵ月, ticlopidine投与期1回/8.4ヵ月であり, 3期間に差を見い出せなかった. これはgraftの開存に関与している因子が複雑であること, 閉塞頻度の高い症例に積極的な抗血小板剤投与を行っていた傾向があったことなどから, 抗血小板剤の効果が現れにくかったためと考えられた.外シャントdeclotting頻度は, 未投与群およびdipyridamole投与群に対しticlopidine投与群で有意に低く, ticlopidineは外シャント血栓症予防に有効と考えられた.血液透析前から後にかけて血漿β-TGおよびPF 4値は, 未投与期, dipyridamole投与期で有意の上昇を示したが, ticlopidine投与期では透析前後に有意な差がなく, 著明に透析後の上昇が抑制されていた. このことは, 同剤投与期にADP添加による血小板凝集能最大凝集率が著明に抑制されていたことにも関連性があると考えられた.以上のことから, 抗血小板剤としてのticlopidineは, 血液透析中の血小板の凝集ないし崩壊を著明に抑制していると考えられ, シャント血栓症予防の目的に加え, 透析中の血小板活性化抑制の目的にも使用されうる薬剤と考えられる.