摘要
本研究は, 強い消炎 (清熱) 解毒作用を有する生薬, 黄連の歯周病に対する局所薬物療法剤としての有用性を評価することを目的とした。黄連の抗炎症能は, 活性酸素消去能および血管透過性試験から評価した。さらに, 黄連の抗炎症能を臨床的に評価する目的で, 10名の成人性歯周炎患者の歯周ポケットに黄連を局所投与した。評価項目は, 投与直前, 投与1日, 7日および14日後における歯周炎の臨床指標 (gingival index: GI, bleeding on probing: BOP), gingival crevicular fluid volume: GCF量) およびGCF中のInterleukin-1 (IL-1) α およびIL-1β 量の変動様態である。その結果, 黄連は強い活性酸素消去能を有した。また, 黄連は投与直後に一過性に血管透過性を亢進させたが, その作用は3時間以内に消失し, この機序にはヒスタミン遊離の影響が示唆された。臨床評価において, 黄連は, GIおよびBOPを投与後14日目まで有意に低下させP<0.005), GCF量を7日目まで有意に低下させた (P<0.01)。また, 黄連は, GCF中のIL-1α 量を投与1 4 (日目まで有意に低下させ, IL-1β 量を14日目後に有意に低下させた (p<0.01)。これらの結果から, 黄連は, 活性酸素およびインターロイキン1産生を抑制することで, 歯周組織の炎症反応を抑制する事が示唆された。