作者
Fumihiko Abe,Miki Tateyama,Hiroyuki Shibuya,Yuuta Ommura
摘要
著者らは, 鉄過剰状態が生体内での Candida の増殖を促進することをさきに報告した. そこで, 今回はひきつづいて, 鉄過剰状態の深在性真菌症に与える影響を検討するため, コロイド鉄を40ないし60mg/kg, 3日間連続静脈内に投与したマウスに, Aspergillus fumigatus の conidia を5×106ないし1×107個静脈内に接種して, 実験的アスペルギルス症を作成し, 28日間にわたつて観察した.その結果, 死亡率は, A. fumigatus の接種量が5×106および1×107個のいずれの場合も, 鉄投与群 (40および60mg/kgとも) の方が, 非鉄投与群に比し, 高い率を示していたが, 投与鉄量と死亡率との間には正の相関はなかつた. 鉄投与群では, 血清鉄と鉄飽和率の増加を認めたが, 鉄飽和率は2種の投与群の間に有意差がなかつた. また, Aspergillus による病変は, 接種量が1×107個の場合には, 鉄投与群の全例で腎に認められた.以上の結果より, 鉄過剰状態は Candida の場合と同様, 生体内での Aspergillus の増殖に促進的に働くことが証明された. また, たとえ投与鉄量に差があつても, 上昇した鉄飽和率がほとんど同じ場合には, Aspergillus の増殖には差異が認められない可能性があることも確認された.