摘要
筋線維の成長は,発生期においては,線維数の増加により,発生の後期および出生後は,線維容量の増大により起るものと一般に考えられている.しかし,鶏胚について,筋線維の成長を調べた報告は少ない.本実験は,白色コーニッシュと白色ロックの交雑種および白色レグホーンを用いて,孵卵開始後9日から21日までの13日間にわたり,筋線維数およびその直径を調べたものである.また,孵卵開始後10日目に,白色レグホーンの胚に抗甲状腺剤であるthioureaを注射して,筋線維数および直径の増加に及ぼす影響を調べた.結果は次の通りである.1) 筋線維の直径は,実験期間を通じてほとんど増加を示さなかつた.白色レグホーンと交雑種の間には,筋線維の直径に有意な差は認められなかったが,thiourea処理胚の直径は,未処理のものより小さく,その差は1%levelで有意であつた.2) 筋線維数は,孵卵開始後11日から15日まで,増加を示したが,17日以後はほとんど増加が認められなかつた.白色レグホーンと交雑種の間には,筋線維数に有意な差は認められなかつた.また,thiourea処理は,線維数の増加に抑制的な影響を与えないように思われる.3) 胚重量および筋重は,交雑種のほうが,わずかに大きな値を示したが,孵化時近くには,その差は認められなかつた.thiourea処理により,胚の成長は著しく抑制された.