作者
Yutaka WAGU,Toshitaka Kakuta,Hitoshi SHINDO,Takeo KOIZUMI
摘要
中国の金華火腿より分離した糸状菌の同定,酵素活性の測定を行った.(1) 火腿から分離された糸状菌は比較的低い水分活性でも生育するPenicillium, Aspergillus属で構成されていた.(2) Penicillium属ではP. aurantiogriseum, P. solitum, P. implicatum, P. viridicatum, P. fellutanum,他4種類の菌が,Aspergillus属ではA. ochraceus, E. repens, A. sydowii, E. amstelodami他4種類が同定された.以上より火腿にはPenicillium属9種,Aspergillus属8種,計17種の糸状菌が分布していた.(3) プロテアーゼ活性は酸性側でPenicillium属,中性~アルカリ側でAspergillus属が強力であった。pH 6.0でのプロテアーゼ活性の強い菌種はA. ochraceusであり,原料の分解に関与すると考えられた.(4) リパーゼはPenicillium属での活性が高く,火腿製造時における脂質の分解はPenicillium属が主体と推察した.Penicillium属の中では特にP. fellutanum, P. canescensが強い活性を有していた.(5) 分離糸状菌のαーアミラーゼは全体に活性は低く,火腿の品質へ与える影響は少ないものと推察した.(6) 分離糸状菌のホスファターゼ活性の強い菌株は存在しておらず,そのため5'-イノシン酸が高く維持されているものと推察した.以上より火腿に生育する糸状菌は,その低水分活性のため,Penicillium属,Aspergillus属が選択的に生育し,蛋白質分解はAspergillus属が,脂質の分解はPenicillium属が主体となっているものと思われた.