摘要
1975年~1981年の札幌医科大学泌尿器科入院症例における S. marcescens による尿路感染症症例は, 109例である. これらの症例について, O抗原血清型, 一部に生物型を用いて疫学的検討を行い, また病院内環境の細菌学的検討を行い, 次の結果を得た.(1) 症例数は, 1980年に35例 (12.2%) とピークがあり, 最近になるに従い, 移入株による入院時既感染例が増加している.(2) O抗原血清型は, 年度により変化が認められ, 時には同一血清型株による病院内感染と思われる outbreak があつた. また1979年, 1980年には, 移入株によると考えられる病院内感染があつた.(3) 疫学的調査では, 1977年, 1979年, 1980年に, 病棟内での交叉感染による病院内感染があり, また感染誘因として留置カテーテルの重要性が認められた.(4) 1978年7月~1979年3月に, 病棟内環境の細菌学的検討を行い, 検体の2.4%よりGNRを分離した. S. marcescens は, 病室の床と清掃用モップより計3株分離し, 環境を介しての交叉感染および感染尿による環境汚染が推測された.(5) これらの結果に基づく病院内感染対策により, 1981年には, 入院症例におけるS. marcescens による尿路感染症は減少し, 入院後病院内感染と考えられる症例は1例のみであつた.