摘要
IgA腎症は, アレルギー性紫斑病, 乾癬, 関節リウマチ, 肝硬変, Chron病などの全身性疾患に伴い発症する場合と, 背景疾患がなく原発性に発症する場合がある. 議論はあるものの本邦の大半のIgA腎症は原発性糸球体腎炎と認識されている. 一方, 扁桃感染と全身性疾患という観点からみると, 掌蹠膿胞症, IgA腎症, 乾癬, 関節リウマチ, 胸肋鎖骨過形成症などが扁桃感染と深い関連を示す全身性疾患として挙げられる. その中でも, 掌蹠膿胞症とIgA腎症に関しては, 扁桃摘出術がそれぞれの疾患の治療法として有効であることが証明されている. このように考えると, IgA腎症は続発性疾患であることも否定できない.IgA腎症の大部分は潜在的に発症し緩徐に進行する慢性型であるが, 一部に咽頭炎, 扁桃炎を契機に肉眼的血尿, 蛋白尿が出現する急性型が知られており, このようなエピソードを繰り返す例では, 口蓋扁桃摘出術 (扁桃摘出術) がIgA腎症の治療として積極的に用いられてきた. 術後に, 血尿, 蛋白尿の消失する例も報告され, やがてIgA腎症の治療の一貫として扁桃摘出術が認知されるようになった. しかし, 扁桃摘出術が慢性型, 急性型を含むすべてのIgA腎症に対して長期的な腎機能保護効果を有するかどうか, そこには未だに議論がある.ここでは, IgA腎症と扁桃摘出術に関する最近の知見を包括的に紹介し, 現在の問題点と今後の展望について解説する.