摘要
1985年~1981年の札幌医科大学泌尿器科における, Serratia の分離状況, S. marcescens による尿路感染症の臨床的背景, 尿分離 S. marcescens の血清型・生物型・抗菌剤感受性について検討し, 次の結果を得た.1) 尿路感染症分離菌としての Serratia の分離頻度は, 入院症例で2.4~18.4%, 外来症例で0.4~5.2%であり, 1980年までは増加傾向を示した. 菌種別では, S. marcescens が88.0%を占めた. S. marcescens は尿路感染症146例から154株を分離した.2) S. marcescens による尿路感染症症例の臨床的背景では, 高齢, 尿路留置カテーテルおよび種々の尿路操作, 悪性腫瘍をはじめとする尿路基礎疾患の存在, 抗菌剤投与との関連が考えられ, いわゆる opportunistic infection の様相がみられた.3) O抗原血清型は, 122株 (79.2%) が型別可能で, O-16 (15.6%), O-4(14.3%), O-5(12.3%), O-14(8.4%), O-9(4.5%)が主な血清型であつた. これらの血清型は年度によりその分布に変化があり, 時には時間的集積性も認められた. API20システムによる生物型は21の型に分類可能であつたが, 70.1%は4つの型に集中した. 血清型と生物型の併用により, さらに詳細な分類が可能と考えられた.4) 分離株の抗菌剤に対する感受性をみるためにMICを測定した. β-lactam 系抗生剤にはほとんど耐性であり, Aminoglycoside 系抗生剤, ST合剤は, 良好な抗菌力を示したが, Aminoglycoside 系抗生剤 (GM, AMK) では, 1977年以降分離株において耐性株の増加が認められた.