作者
弘樹 須摩,勇 茂木,博子 栗原,健二 佐藤,敦雄 片井,勲 永井,拓也 廣田
摘要
〔はじめに〕蒸気滅菌では,滅菌物温度と器内温度のずれの把握は滅菌保証上重要になる.昨年度は,細菌検査に使用した平板,ブイヨン等のポリ袋入り廃棄物を滅菌処理する時に生ずる滅菌器内温度(滅菌器制御温度)と廃棄物温度のズレについて報告した.本報では,液剤,培地等被滅菌物の種類・容器・容量を変えた場合の器内温度と被滅菌物温度との間の差について調べ,適正滅菌時間設定時の留置点等について検討した.〔実験方法〕温度測定は記憶式温度測定システムMicropack III^【○!R】(最大径18mm)を主として使用した.被滅菌物は水,グリセリン,寒天末等を,容器はガラス滅菌瓶,プラスチックボトル,ステンレス缶等とした.バイオロジカルインディケータ(BI)はSPORTROL^【○!R】(B.stearothermophilus 10^6/strip)を使用し,滅菌器はSS-235・ES-215^【○!R】(トミー),ASV-2402^【○!R】(サクラ)を使用し,処理温度は121℃とした.〔結果〕被滅菌物として水を使用し,ガラス滅菌瓶に入れて処理した時には,容量,本数,設置位置,スタート時の缶内温度による影響が認められ,lag time 10〜15分となる場合もあり,蒸気の通り道が確保されているという前提でみると,滅菌器有効容積と被滅菌物容積との差が小さくなるとlag timeは小さくなる傾向が見られた.被滅菌物を水として容器の材質を変えると,ステンレス<ガラス<プラスチックの順にlag timeは大きくなり,容器材質の熱伝導に依存することが明らかになった.このことは,ガラス瓶等をプラスチック袋に入れるとlag timeが増大することと共通する.SCD寒天培地および1.5%寒天は原末を水に入れた状態で処理すると,寒天等が沈降した下層と水主体の上層では温度差が大きくなり処理設定時間30分のときには,寒天層では121℃に到達せず,生存BIも認められた.